坐骨神経は人体のなかで一番太く長い神経です。
その坐骨神経が何らかの原因で炎症を起こし、お尻や足に痛みやしびれを出すものを坐骨神経痛と呼びます。
ただ、あまりこの区別がなされていないのですが、坐骨神経痛は症状の総称であって、痛みやしびれの原因ではありません。
ここを混同したままでは、なかなか坐骨神経痛の根本的な改善は難しいですから、そこの部分をわかりやすく整理していきます。
坐骨神経痛は症状名
坐骨神経痛のややこしいところは、症状名であって疾患名ではないということです。
分かりやすいように、頭痛を例に挙げて考えてみましょう。
片頭痛で頭が痛くても、二日酔いで頭が痛くても、脳腫瘍で頭が痛くても、症状名としてはすべて頭痛ですよね。
しかし、原因はそれぞれ違いますから、それぞれに違う対応が必要になります。
坐骨神経痛もそれと同じです。原因が何であれ、坐骨神経が痛んで症状が出ていれば、すべて坐骨神経痛という症状で呼ばれ、坐骨神経痛という診断が下されます。
ですから、坐骨神経痛の改善においても大切なのは、坐骨神経が圧迫されて出てくる症状に対処することではなく、「なぜ坐骨神経が圧迫されているのか?」という原因を突き止めて取り除くことです。
坐骨神経痛の走行
つぎに、坐骨神経痛の走行について簡単にお話ししてから、原因となる疾患について解説していきます。
背骨の中には脊髄と呼ばれる神経の大元のようなものが通っていて、それが腰の部分で枝分かれしたものが坐骨神経です。
坐骨神経は腰の辺りで背骨の外に出たあと、お尻の筋肉の隙間を縫うように骨盤を通って足に向かい、最終的にはつま先までカバーします。

この途中のどこかで圧迫されて炎症が起こると、その場所に応じてお尻や太もも、ふくらはぎやつま先などの痛みやしびれ、さらには感覚障害や運動障害といった坐骨神経痛の症状が出てくることになります。
腰が悪い人に坐骨神経痛が多いのも、構造的に腰と坐骨神経の関連が強いからですね。
坐骨神経痛の原因疾患
さて、次はいよいよ本題に入って、坐骨神経に炎症を引き起こす疾患について解説していきましょう。
とはいえ、すべては解説しきれないので、坐骨神経痛の原因疾患として多いものを、上から三つに絞ります。
腰椎椎間板ヘルニア
坐骨神経痛の原因として一番多いのは腰椎椎間板ヘルニア。いわゆる腰のヘルニアです。
症状としては、左右どちらか片側のお尻や足に出やすく、20代〜40代に多いのが特徴です。
ヘルニアは有名なのでご存じかもしれませんが、飛び出した椎間板が神経に当たり、痛みやしびれが出てきたものです。
少し詳しく補足しておくと、腰は腰椎というブロック状の骨が五つ積み重なってできており、その骨の隙間にはそれぞれ椎間板と呼ばれるクッション組織が入っています。

この椎間板のすぐ近くには、椎間孔という坐骨神経の通り道があります。
そこで、椎間板が飛び出したときに、椎間孔を通る坐骨神経を圧迫してしまいます。
この椎間板による坐骨神経への物理的な圧迫が神経に炎症を起こし、その神経の支配領域に症状が出てくる、というのが簡単な椎間板ヘルニアの解説ですね。
脊柱管狭窄症
椎間板ヘルニアの次に多いのが脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)です。
ヘルニアは片側のどちらかに症状が出ることが多いのに対して、脊柱管狭窄症では両側のお尻や足に症状が出やすいのが特徴でしょう。
また、発症する年代も50代以上から多くなり、間欠性跛行が見られることもあります。
歩くと痛みやしびれが出て、少し休むとまた歩けるようになる症状のこと。
簡単に解説をすると、背骨には脊柱管という縦に走る空間があり、脳から出た脊髄はこの中を通って腰まで降りてきます。
そこで、この脊柱管の空間が狭くなってしまうと、中を通る脊髄が圧迫されます。

坐骨神経は脊髄から枝分かれしています。
大元の脊髄が圧迫されることで、その末端である坐骨神経まで伝達障害が起こって、痛みやしびれが出てしまうわけですね。
脊柱管が狭くなる理由としては、
などが多いでしょうか。
これらは若年層の骨格には少ない変性で、脊柱菅狭窄症が50代以降に増えてくる理由でもあります。
腰椎すべり症
最後に、数こそ上記二つに比べて少ないものの、いちばん重症なのが腰椎すべり症。
中高年の女性に加えて、若い人でもスポーツ経験者に多くみられます。
症状としては、腰痛に加えてお尻や足のしびれ、間欠性跛行など、すべりの度合いによって様々な症状を出します。
先ほど、腰は五個の骨が積み重なってできている。と書いたのですが、これが崩れないように、それぞれの骨は関節で固定されています。
その関節が加齢による骨の変形や、スポーツによる繰り返しの負担などによって、疲労骨折を起こすことがあります。

腰椎を固定している関節が骨折すると、腰の骨はストッパーがなくなりますから、前方へとすべっていってしまいます。
このときに、背骨の中を通る脊髄を圧迫したり、坐骨神経を圧迫したりしてしまうため、腰痛・お尻や足のしびれなどの症状につながります。
なお、腰椎すべり症には、関節の連続性が断たれているため、症状の改善は可能でも根本的な原因の改善が難しいという問題があります。
したがって、うまく症状をコントロールして手術を回避しながら、いま以上に悪化させないための保存療法が非常に重要です。
坐骨神経痛の原因疾患を根本的に改善しましょう
ヘルペスや糖尿病の合併症などでも、神経障害の影響で坐骨神経痛のような症状が出ることはあります。
しかし、そのような感染症や内科疾患などの問題がなければ、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症の三つが、臨床的にも坐骨神経痛の原因として多いです。
ですから、坐骨神経痛によるお尻や足の痛み・しびれを解消しようと思うと、これらの原因の方を根本的に解決してしまわなければなりません。
原因を解決してしまわなければ、同じ問題に何度も悩まされることになるからです。
まとめ
坐骨神経痛はお尻や足の痛みやしびれの原因ではなく、単にその状態を表している症状名にすぎません。
その場しのぎではなく、根本的にその症状の改善を図ろうとするならば、その坐骨神経痛を引き起こしている原因の解決が必要です。
もし、あなたが坐骨神経痛による痛みやしびれでお困りでしたら、レントゲンによる科学的な骨格の分析によって、お体の状態を説明させていただくこともできますので、お気軽にご相談ください。
