厚生労働省が三年ごとに実施している国民生活基礎調査によると、腰痛は肩こりと並んで自覚症状を持つ人の数でつねにトップを争っています。
とくに腰痛は年齢が上がるごとに症状を訴える割合が増えていき、治療を要するほどの腰の痛みを経験したことがある人は、40代で48.9%、50代で52.4%にもなります。
しかし、一般的なイメージとは違って、腰痛は加齢によって発症するわけでもなければ、癖になるようなものでもありません。
内科疾患や感染症のような原因が見られない場合、腰痛の多くに骨格の歪みが関わっていますので、その観点から解説をしていきます。
腰痛の8割以上が原因不明?
腰痛の分類には、原因を特定できる特異的腰痛と、原因を特定できない非特異的腰痛というものがあります。
この二つの割合が問題で、日本整形外科学会が発行している「腰痛診療ガイドライン」によると、腰痛の85%は非特異的腰痛に分類され、原因を特定することが困難であると記載されています。
つまり、腰痛で10人が整形外科の診察を受けたら、8人以上は原因が分からないということです。

腰が痛くてもその原因が分からないため、治療法がシップや筋弛緩薬、運動やマッサージのようなその場しのぎの対症療法しかないのも、腰痛が慢性化する一因になっていると言えるでしょう。
しかし、このような原因がはっきりしない腰痛も、骨格の構造的な観点から分析していけば、また違った問題が浮かび上がってきます。
腰に負担の掛かりやすい骨格構造
これほど腰痛の自覚症状を持つ人が多いのは、人間の骨格の構造に理由があります。
人間は現存する動物で唯一、直立二足歩行の形態をとっていますから、つねに背骨を地面に対して垂直に立てて活動しています。
この際に問題になるのが腰に掛かる荷重で、人間は頭や内臓などの重たいものが上半身に偏っているため、体重を上半身と下半身で分けたときには、6~7割が上半身の重さだとされています。
これを支えているのが骨盤で、横になって寝ている時間以外は、立っていても、座っていても、歩いていても、腰は毎日十何時間も上半身の重みを支え続けなければなりません。

そのため、二本の足で立って生活する人間の腰には、もともと負担が掛かりやすいという構造的な欠陥が存在するのです。
ただし、極度の肥満でもなければ、腰に掛かる自分の上半身の重みくらいは、自分で支えられるよう工夫がされています。
ところが、骨格が歪んで構造的な問題が生じると、腰に掛かる上半身の荷重を受け止めきれなくなり、想定外の負担が掛かって痛みが出るようになるのです。
骨格が歪むことで増える腰の負担
腰痛にも様々なパターンがあるのですが、いちばんオーソドックスなものを例に挙げてみましょう。
骨格の構造的な観点から言うと、人間の骨盤は上半身を支える土台のような役割をしています。
これをレントゲンで正面から見ると、左右の高さがきれいに揃っており、その上に腰椎がまっすぐ乗っているのが正常な状態です。

この構造を維持できていれば、骨盤に掛かる上半身の重みを体の真ん中で受け止めて、左右の足に荷重を均等に受け流せるので、腰に想定外の負担が掛かることもありません。
しかし、骨格が歪んでこの構造が崩れると、腰に掛かる負担を支えきれなくなるため、何とも言えない腰の痛みに悩まされるようになります。
たとえば、骨盤が歪んで左右の高さが変わったとしましょう。

そうすると、骨盤の上に乗っている腰椎も体の真ん中から外れてしまうので、背骨が偏っている側に荷重が集中するようになり、そちら側の腰に掛かる負担も大きくなります。
とはいえ、私たちは直立二足歩行で生活をしていますから、構造的な問題が生じていようとも、二本の足で立って仕事や家事をするために、背骨を立てて支えないわけにはいきません。
そのせいで、荷重が偏っている場所には慢性的に大きな負担が掛かって、関節に炎症が起こったり筋肉が硬くなったりするため、慢性的にその部分が痛むようになります。
骨格の歪みを矯正して腰の負担を解消する
よく「腰痛は癖になる」と言われますが、その背景も単純で骨格の歪みが解消していないからです。
骨格の歪みが解消していないということは、構造的な問題も残ったままですよね。
その状態でストレッチやマッサージで一時的に症状を和らげたとしても、仕事や家事を行えばまた同じように腰に負担が掛かって、同じような場所が同じように痛むようになります。

そこで最先端骨格矯正では、腰痛の症状に対処するのではなく、この骨格の構造的な問題を取り除くことによって根本的な改善を図っていきます。
歪んでいた骨格を矯正すれば、偏って掛かっていた荷重のバランスが元に戻り、再び骨盤の中心で上半身を支えられるようになりますよね。
そうやって構造的な問題が解決すれば、腰に偏って過剰な負担が掛かることもなくなりますから、腰痛も自然に解消していくでしょう。
まとめ
腰痛を訴える人は統計で見ても多いので、あなたの身の回りにも、腰の痛みに悩まされている人がたくさんいることでしょう。
そのような状況に置かれると、年齢を重ねると腰が痛くなるのは、仕方のないことだと諦めてしまうかもしれません。
しかし、実際はこの記事で解説したように骨格の歪みが関わっていて、年齢とともに腰痛の人が増えてくるのも、矯正をしなければ時間の経過でどんどん歪みが進行していくからです。
骨格の歪みをそのままにしていれば、将来的には腰の痛みだけには留まらず、椎間板ヘルニアや膝の痛みといった別の問題にも波及していきますから、早めに矯正するようにしてください。